パンのみに非ず
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「見張り/見張られる」関係の逆転
三年前から断食道場での見張り役を仕事とする〈わたし〉。しかしこれまで、脱走者は出てはいない。初めての脱走者が出た晩、〈わたし〉は言う。「あの断食道場に、もし脱走する権利のあるものがいるとすれば、それは、このわたし以外には、ないわけですよ」――。非日常の中で生じる「見張り/見張られる」関係の逆転。カフカの『断食芸人』を新たな解釈でリメイクした中編小説。「文学界」1969年2月号に発表。単行本『笑い地獄』に所収。